デモンドリーム・マンハッタンの悪夢ー419 勝手に祈るんじゃんねえ

 老人は骨に皮が付いたようにやせ細り、散歩させている犬はやや大きい犬種のせいで
 老人が犬に引っ張られて歩いているようにふらつている。
 しかし教会が近くなるとそのもうろくした老人の腕に力が入り、

 犬はぐっと抑えられた。
 立ち止まった老人は教会の前を見つめて感嘆の声を漏らした。
「ふおお…。」
 サラサラの黒髪、輝くような白い肌、バラの天使を思わす美しい顔。そんな美少年が

 立っている。
 老人の目にとまった美少年はもうとっくに失ったはずのトキメキを蘇らせる。
 美少年が背中に背負ったキルトの袋の花柄が本物の花を背負っているように錯覚させ、
 天から朝の光が超かわいい旬を照らすように降り注いで見えて、
 天使か?!

 と思った老人はその場で立ち止まり突然手を組んで祈りだした。
 天使が降臨したなら神様にお願いするチャンスだ。

 天使が消える前に一生のお願いを口の中でブツブツ念じた。
 かみさみゃ、50年間買い続けた宝くじが死ぬ前に当たりますように…と
 目を閉じて熱心に祈るじーさん。
 旬も祈るじーさんにおののく。
 なんだこのジジー…?
 普通は教会の中で祈るのに、どうも旬に向かって祈っている。
 気味悪いぜ。勝手に祈るんじゃんねえ。
 旬は嫌〜な顔で、熱心に祈るじーさんを薄気味悪く見ていると甘栗の車が走って来た。
「あ!せんせえ。」
 旬の冷たい表情は一変し、嬉しそうな顔で車に走って乗り込んだ。
 じーさんは手を組んで目をつむっていたが、長々祈り終えると天使が忽然と?消えていた。
 バラ色の空を見あげると雲の合間から一筋の光が差して見え、その光に天使が上って
 行ったのだと思い込み、天使に会えた感動で涙を流した。
「うひょおお…。」

 

 その日の旬と甘栗は自宅に戻ると数時間眠って体を休めた。
 一刻も早くマークとマイケルを助けたいという思いだけで二人は頑張っているが、
 疲労はどんどん蓄積されている。
 大学院に行くと、スミスはやや右を向き、腰に手を置いた格好で講義をしていた。
 昨夜のオーバーな演技でやりすぎた下手くそ運転が原因だ。
 スミスの献身的な助けに感謝すべき旬は挨拶もなく熟睡中だ。

 

 ヨーロッパの外れにある古い王家が守る小王国。
 小高い丘にそびえる王城が見守る王都は森の都だ。
 王都中心部から見て少し郊外になる深い太古の森の中に独特の美しさを保つ屋敷がある。
 元々は古代の王家の別荘で、古代ローマ風の小宮殿を改装した屋敷。
 そこに旬の母・万里子は静かな時間を暮らしている。
 太古の森は紅葉も過ぎて鮮やかに色づいた葉が落ち、地面は色とりどりの自然の絨毯が
 敷き詰められたようだ。
 小宮殿の前には湖がある。鏡のようにすべてを映す小さな湖に小宮殿が地上と湖面の
 両方に上下逆さに二つ映っている。

 風がなく、

 湖面が揺らがないとどちらが本物かと見間違うほどくっきり映っている。
 枯れた木が枝の複雑な模様を作り、冬を迎える寂し気な景色もここでは素晴らしかった。
 屋敷の応接室には万里子と親友・カサリンが静かに並んで座っている。
 カサリンは華奢で顔はそばかすがあり、美人ではないが優しさが顔ににじみ出ている。

 

 

 

 



人気ブログランキングへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

青アキラ3


スポンサーサイト

  • 2020.07.19 Sunday
  • -
  • 12:21
  • -
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク


S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
ninnzilya
bu
**selected entries**
**categories**
**archives**

**search this site.**

**links**
**profile**
**others** **mobile**
qrcode
**powered**
無料ブログ作成サービス JUGEM
**PR**